人工知能関連この三冊

工学分野での人工知能研究の教科書的な三冊を、私の独断と偏見で選んでみたよ。単に私が読んでる(た)本だったりするんだけど。

人工知能の分野をかなり乱暴にまとめると、確率と論理の二本柱であると言えるだろう。

Artificial Intelligence: A Modern Approach (Stuart J. Russell)

一冊目は言わずと知れた人工知能の教科書。通称「ラッセル本」。

現在2版(Second Edition)。日本語版もあるけど1版な上に、残念な日本語に仕上がっているので、こちらを読む他にない。噂によると、日本語の2版が出る前に3版がでるとか。(2008年7月3日追記。7月10日に日本語2版が出る。でもちょっと高い。)

人工知能の幅広い分野をカバーしているが、言い方を変えれば広く浅くといった感じ。記述もぼんやりしているところがあるので、突っ込んだ理解をしたいのなら、それぞれの分野の本を別に読むべきだろう。でも、これ一冊である程度は人工知能のことが分かる便利な本。

Pattern Recognition and Machine Learning (Christopher M. Bishop)

二冊目。通称「ビショップ本」。なぜかフルカラー。

こちらは上のラッセル本と違って、日本語版(パターン認識機械学習 ISBN:9784431100133)でもいいのかも。でも日本語版は上下に分かれていて、下は2008年6月18日現在出版されていない(2008年6月24日追記。聞いたところによると一月以内に下も出るらしい)。下の範囲が重要な部分が多いと思うので、やっぱり英語版を読む方がいいかも。日本語版(上)は6500円くらいで、英語版は10000円くらい。

タイトルの通り、パターン認識機械学習の話。具体的には確率や分布を道具として用いる。

Logic and Structure (Dirk Van Dalen)

最後の一冊は人工知能の本ではなく、(数理)論理の本。だから人工知能の範囲の中でも論理に関係しないのなら必要ないのかも。人工知能の中での論理の占める位置については、語りだすとボロが出そうなので止めておく。ただ論理自体はソフトウェアを考える上でも必要なツールなので、読んで損はないと思う。

内容は命題論理とか一階述語論理とか。健全性(soundness)と完全性(completeness)の証明もある。

その他

教科書ではないけれど、人工知能学事典(ISBN:9784320121072)も読み物としては面白い。ただ普通の書店や公共図書館にはないような気がする。